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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生14巻6号

1953年12月発行

文献概要

研究報告

肺吸虫症患者の喀痰および糞便からの虫卵検出頻度について

著者: 小宮義孝1 横川宗雄2

所属機関: 1国立予防衞生研究所寄生虫部 2国立公衆術生院寄生虫室

ページ範囲:P.86 - P.89

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 肺吸虫症患者の定型的な喀痰は,粘調で特有な飴色を帯びており,この部分を検鏡すると,本虫卵を見いだす確率が極めて大きい。本症の診断にあたつては,被検者の喀痰中に本虫卵を,証明することがそのもつとも確実な方法であることは云うまでもないが,一方集団検査の場合には,よし本吸虫症患者であつても,かならずしも常に定型的な喀痰がえられるとは限らない。この場合,もし糞便よりも喀痰と同様に本虫卵が検出され得るならば,本吸虫症の検出は,一般腸管内寄生虫検査のための糞便検査と同時に行いうるので,甚だ便利である。けだし人々は,無意識的にも,しばしば自己の喀痰を嚥下すろことが考えられ,従つて喀痰中に混在する本虫卵が,糞便中に混在してくる可能性は充分あり得るところだからである。しかし従来この点に関して検討を試みた報告はまことに少い。僅かに富永(1942),Faust(1949)のそれがあるのみである。富永は50名の患者につき,喀痰と糞便の同時検査を1000回行つて,喀痰中に994回糞便中に138回(13.8%)虫卵が陽性であつたと云い,Faustは肺吸虫症患者で肺症状のあるものの糞便からの本虫卵の検出頻度は約40%であると云つている。
 私たちは,昭和25年夏より26年冬にかけて静岡県狩野川流域において,肺吸虫症患者35名につき,引き続いて喀痰,糞便の同時検査を行う機会を得たので,その結果について如上の点をしらべてみた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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