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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生15巻2号

1954年02月発行

文献概要

特集 公衆衞生に必要な諸検査

寄生虫の檢査

著者: 小宮義孝1

所属機関: 1国立予防衞生研究所 寄生虫部

ページ範囲:P.23 - P.29

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 広く寄生虫といえば原虫類も含むのであるが,ここでは専ら蠕虫類に屬するものを取り扱うこととする。蠕虫類の大多数のものは腸管系統(肝を含む)に寄生し,したがつてそれらのものの虫卵は糞便中にまじつて体外に排泄されてくるので,この場合には便の顕微鏡検査を行い虫卵を検出することが出来る。蛔虫,鈎虫,鞭虫,東洋毛様線虫,肝吸虫,メタゴニムス(横川吸虫,高橋吸虫),広節裂頭条虫,ナナ条虫(矮小条虫),縮小条虫などがそれである。しかし腸管内寄生虫でも嶢虫は肛門周囲の粘膜に産卵するので便中に虫卵が検出されることは極めて稀である。又有鈎条虫,垂鈎条虫も虫卵が便中に混在するのは稀である。これらは虫体の片節が便中にまじつて出てくるので,片節の検出によつて虫体の存在を確認する。
 なお,日本住血吸虫は門脈系統の静脈支別内に寄生しているのであるが,産卵は腸粘膜近くの小静脈枝内で行われ,ここに産出された卵は附近の組織内に逸脱し,その部に炎症を生じ,腸管内に破れ,したがつて虫卵も腸管内に出で,便と共に排出される。又肺吸虫卵は主として喀痰内に見出されるのであるが,しばしば喀痰が呑みこまれ,したがつて虫卵が糞便中に見出されることが多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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