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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生15巻2号

1954年02月発行

文献概要

研究報告

井水の飮用による泉熱の感染発症試驗

著者: 兒玉威1 山田健次郎1 田中博1 吉田忠1

所属機関: 1神奈川県衞生研究所

ページ範囲:P.77 - P.79

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 泉熱の集団発生における感染場所及び感染経路については今日なおその7割が不明であつて,本症の感染経路は恐らく頗る複雑多岐なものでないかと考えられているが,爆発的に集団発生することが多いので,昭和16年横浜市鶴見区における集団発生当時から私共は先ず第一に経口感染に注目した。厚生省公衆衛生局防疫課の調査によれば,昭和2年5月から26年8月に至る間の94件の集団発生中稍々詳細に報告されたもの60件についてみるに,水系感染と推定されるもの16件(その他疑あるもの10件)食餌性感染と推定されるもの3件(その他疑あるもの4件)であるという。水系感染が考慮されるようになつたのは昭和22年11月藤沢市江の島に5つの小中学校生が遠足して,うち3校に泉熱の集団発生をみた例についての児玉,水野等の報告以降のことであると思われる。上記の16件についてみるに水源は井戸が最も多く,次で泉,簡易水道の順である。水による感染の興味ある例としては昭和25年5月大阪府泉北郡北松尾村小学校の生徒が遠足先で泉の水を水筒に汲んで持ち帰り,妹が自宅で飲んで姉妹共に発病したと云う報告がある。
 然るに泉熱の文献をみるに未だ人体実験における感染発症陽性の報告例がない。私共も昭和24年11月藤沢市川名の集団発生に於て,第2病日の患者血液を有志5名(当衞研所員及び同家族15〜20才)に各0.5cc筋肉内接種したが,1名に於て翌日軽度の下痢をみた外全く反応を示さなかつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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