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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生15巻2号

1954年02月発行

文献概要

研究報告

井水飮用による泉熱人体感染実験

著者: 長岐佐武郞1 阿部実1 丹治汪1 南沢康雄1 北岡正見2 前田道明2

所属機関: 1東京都立荏原病院 2国立予防衞生研究所

ページ範囲:P.79 - P.81

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 泉熱の過去における集団発生について,その感染源を追及すると,経口感染特に水系感染(井戸水或は泉の水など)を推定せざるを得ない場合が屡々ある。この点について著者の一人前田1)は一昨年の学会の席上に於て追加し強調した。その後昭和25年5月大阪府泉北郡北松尾村の小学校に於て,遠足が誘因となり学童間に集団的に爆発的に発生した際,一学童が水筒に入れて持ち帰つた遠足先の水を,未就学の妹が自宅に於て飲み兄妹共に発病した2・3・4)。この事実は,泉熱とは飲料水によつて経口的に感染発病することがあり得ることを裏書きするものである。しかし,そこには,厳密な意味において,客観的証左が尚欠けている。そこで感染源と思われる井戸水或は泉水から直接病原体を分離することが先決問題となつた。
 たまたま昭和26年6月神奈川県高座郡御所見村において泉熱の集団発生が起り,児玉等と共に現地を調査したところ水系感染が疑われた。そこで感染源と推定されたW氏家屋内の共同井戸の水を6月4日に汲み取り持ち帰り,その一部をマウスに接種すると共に大部分の水を無処置の儘,その100〜200ccを夫々職員関係者6名(19才の1名を除き他は小児)に飲用せしめた。その結果,水を飲んだものの中に2名に感染発症が認められた。因みに之等被検者は他からの泉熱感染から遮断されていたものであることを附記する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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