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特集 乳幼兒衞生の焦点(I)
公衆衛生問題としてのビタミンD缺乏症
著者: 弘好文1 河原崎倜1 佐川忠義1
所属機関: 1北海道大学医学部小児科
ページ範囲:P.21 - P.25
文献購入ページに移動我が国では,大正の末期頃までは「東京育ちの小兒にみられたるクル病」等という,学会報告が行われたぐらいで,ビタミンD缺乏症は北陸,東北地方の地方病であるかのごとくに思われ勝であつたが,その後,各地からも報告例が増加し,特に終戦後においては日本の各地域で,かなりの頻度にクル病が証明されることが指摘せられて,日本全体の公衆衞生上の問題の一つとして取扱われねばならないようになつた。
昭和27年7月,札幌において日本小兒科学会総会が開催された時に,その附帯行事の一つとしてクル病についての座談会が行われたが,その際に発表せられたる各地のクル病頻度は次のようである。即ち北海道においては満1年半乃至2年以下の小児において札幌市22%(5月調査),十勝地方41.1%(5〜6月調査),東北地方では主として2年以下の小兒において宮城県17%前後,福島県14%ぐらい,山形県30〜40%,秋田県宮川村25%,靑森25.6%,岩手県30%前後,東京の某乳兒院では22%,京都府の某赤ちやん大会では6.1%,九州の八幡市においては1033名の乳兒中,頭蓋癆17.7%,内の約半数はレントゲン学的にクル病性変化を伴う,鹿児島においては1350名中,頭蓋癆202名,内19名はクル病という数字であつた。
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