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研究報告
勞働環環調査の方法について—研究者の立場から
著者: 額田粲1 小泉明1 脇坂一郞1
所属機関: 1東京大学医学部公衆衞生教室
ページ範囲:P.28 - P.31
文献購入ページに移動労働環境の調査は我々研究者の純学問的興味からなされる場合もあるが,多くの場合事業所側の依頼に基ずいてなされる。このような依頼の背景には調査の結果を何等かの形で利用しようとする事業所側の目的が存在するわけであるが,それには大別して二つの場合があるように思われる。その一つは衛生管理の一環としてその調査を行い,それによつて労働環境を改善しようとする意図のある場合で,第二の場合は調査の結果労働環境を格付し,環境加給を合理化しようとする場合である。
第一の目的の調査は産業が進めば進むだけ,その需要も増加し,欧米ではそのためにIndustrial hygienistと云う新しい職業の分野も出来ている現状である。我国に於てはそのような時期には未だ到達していないため,大学その他の医学及び公衆衛生の研究機関に止むを得ず依頼が集中している状態になつている。第二の目的を有する依頼も亦衛生学の本来の目標とするものとは云い得ないものであるが,このような自己の生活に直接関係のある問題に対しては労資双方共に著しい熱意を有するように見受けられる。何らかの形で人体に影響を及ぼす異常環境を格付しそれを賃金に反映させると云う考え方にはその根本に於いて大きな誤謬の潜んでいるものであるが,環境改善に対しては研究者としても出来得る限りの援助を与えその促進をはからなければならない。
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