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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生15巻6号

1954年06月発行

文献概要

特集 公衆衞生に必要な新藥の知識 論説

公衆衛生と新藥

著者: 酒井威

所属機関:

ページ範囲:P.1 - P.4

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 水爆被害漁夫の放射線火傷に,EDTAという新薬が送られたと新聞が報じて居る。EthyleuDiamine Tetra Aceticacidの略字である。之に類する医薬品は,Hypotonin(E. D. Valerianate 1922)と,E. Dに琥珀酸を結合したHypotonal(大正14年田村)とが,何れも血圧降下剤として市販されて来たが,E. DTAの如き化学構造式の物は,従来二価陽イオンの定量試薬には賞用されたけれ共,医薬品としては正に新薬である。然し今日の使用法では,公衆衞生の新薬ではない。該事件以来,無難な鮪までが,需要消費が少くなり,為に之が売れ残つて鮮度が落ち,非衛生に陥る怖がある。昨年の米国化学会では,Tarr氏が,魚類を貯蔵する氷の中に,1ppm. の割に,クロロテトラサイクリン(オーレオマイシン)を含有させると,鮮度が長期間保続出来る事を発表して居る。同様にDetherage(1953)は,獣肉動物の屠殺直後に,上記抗生物質を淋巴節に注射すると,死後の変化を永く防止し得ると云う。オーレオマイシンは1948年(Duggar)以来の薬であり,今日では果して新薬に属するか否かは知らないが,立派に食品衛生上の,即ち公衆衛生の薬品でもある。
 新らしい薬品は,世界の各地で毎日のように誕生する。誕生前に充分に実験検討されても,世に出てから改めて評価されて,或は夭折し或は延命して人類のために活躍する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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