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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生15巻6号

1954年06月発行

文献概要

特集 公衆衞生に必要な新藥の知識

γ-グロブリン

著者: 平井秀松1

所属機関: 1東京大学医学部生化学教室

ページ範囲:P.21 - P.26

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1.まえおき
 γ-グロブリンという物質はもともと純粋な物理化学的概念で定義されるが,抗体成分が多くはγ-グロブリンとしての性質をもつているので,γ-グロブリンという言葉は同時に抗体グロブリンの意味を含んで使われることが多い。又それが故に重要な物質なのである。
 γ-グロブリンという言葉を説明するためには電気泳動法の説明にさかのぼらなければならない。電気泳動とは溶液の中に陽と陰の電極を入れると,溶液中の溶質粒子が自分自身の帯電に従つて陽極または陰極に向つて動く現象をさすものである。従つてこの方法により溶液中の帯電物質の分析ができるので,古くから化学的な研究に用いられてきた。蛋白質も溶液中でその溶液のpHに支配されて帯電しているので,矢張りこの電気泳動分析の対象になる。電気泳動法には色々な方法があるが,スエーデン,ウプサラ大学のTiselius教授が考案した方法は極めて精巧であり,今迄に現れた方法のうちである意味でもつともすぐれたものである。この方法は今日Tiseliusの電気泳動法(1)と称して広く世界中に行われている。この方法については次項にのべることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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