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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生16巻1号

1954年07月発行

文献概要

特集 赤痢(Ⅰ) 論説

赤痢と手洗い

著者: 兒玉威1

所属機関: 1神奈川県衞生研究所

ページ範囲:P.59 - P.62

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まえおき
 赤痢その他の消化器系伝染病予防のキメ手は,屎尿中に排泄された病原体が再び人の口は入るのを防止するためにあることはいうまでもない。それにはこれらの病原体を含む屎尿を合理的に処理して再び人の口にはいらないようにすることが根本対策であるが,それだけでは病原体にとつて大きな抜け穴が残されている。即ち用便の後始末のとき下痢便の場合は勿論普通便でも,必ずといつてよい位ちり紙を通して便が手指につき,肛門周辺にも残つてしまい,普通の簡単な手洗では完全に洗い落すことは困難である。従つてそれが赤痢の患者か保菌者であつたなら,手のふれたものは次々に赤痢菌でよごされて行く。また糞便でよごされたオムツやサルマタ等を洗たくした場合も危険は同様である。殊に現在のように赤痢の蔓延の甚だしいときには,いつどんな機会に赤痢菌が手につくかわからない。このように考えるとき手洗い運動は相変らず赤痢予防の衞生教育の花形の地位を譲ることはないであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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