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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生16巻3号

1954年09月発行

文献概要

特集 食中毒

日本に発生したボツリヌス中毒に就て

著者: 遠山祐三1

所属機関: 1国立予防衛生研究所

ページ範囲:P.20 - P.25

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1.まえがき
 ボツリヌス中毒の歴史は古く1735年頃から知られていたがその病原細菌を初めて分離したのはVan Enmeugeu氏でベルギーで発生した食中毒でその原因食と思われた喰べ残りのハムや屍体の脾臓胃等から一種の猛毒を産生する嫌気性菌を発見分離し之をその病原菌であると認めボツリヌス菌と命名したのが1896年である。爾来今日まで世界中でボツリヌス中毒発生の最も多いのは北米合衆国であり又欧州の諸国殊に独乙,ソ連邦,仏国,英国等にも経えず患者の発生を見ている。日本では昭和26年北海道で中村博士等の報告が出るまでは臨床報告は無く従つて従来は殆ど世間の注目を引かなかつたというよりは寧ろ逆に我国にはボツリヌス中毒は存在しないものと誤認されておつた次第である。ボツリヌス菌には5つの菌型A.B.C.D.E.が知られているが人に病原性を有するのはその内のA.B及びEの3型だけで,就中従来欧米諸国で多数の中毒患者を出しいるのはA型とB型兩菌でE型菌の知られたのは比較的新しく1935年以来の事で,従つてその発生例も僅少で現在まで報告されているのは世界を通じて17例に過ぎず,その内5例が僅か3年間に日本で発見されている。C型とD型は何れも主として家畜や家禽を侵かし人には全く病原性はないものと見做されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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