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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生16巻5号

1954年11月発行

文献概要

特集 勞働衞生最近の進歩

潜函病

著者: 北博正1

所属機関: 1東京医科齒科大学衛生学教室

ページ範囲:P.71 - P.72

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 潜函病の原因・症状・治療・予防に関しては一応御存じのことと思うので,教科書的な事には触れないが,これと似たものに潜水夫病や飛行機で急上昇した際に発生する病状がある。前二者では高圧から常圧にもどる際にあらわれるに対し,後者では常圧から低圧に移る際に発生するが,何れも体液・組織中にHenry-Daltonの法測によつて溶けこんでいた窒素が游離して気泡を形成するためにおこるものである。(窒素は脂肪・リポイドに血液の5〜6倍も溶け,その害も大きいので,窒素の代りに同じく不活性であるが,此重の小さいヘリウムと酸素の混合気体を吸入させる方法が米国では潜水作業の際用いられているが,わが国では望むべくもない。)しかし前二者では空気の酸素分圧は大であるが,後者ではこれが小となるためこれによる症状がちがつて来ることは当然であるが,最近ではこれらの疾病を総称して減圧症(decompression sickness)といい,今次大戦において,航空機の発達や遭難潜水艦からの脱出等の研究が長足の進歩を遂げたため,この方面の新知見も多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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