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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生17巻2号

1955年02月発行

文献概要

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所謂出血熱の疫学

著者: 宍戸亮1

所属機関: 1国立予防衞生研究所

ページ範囲:P.1 - P.11

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まえがき
 "流行性出血熱"という名称の疾患が我が国の学者によつて見出されたのは今より10数年前の事で,当時(昭和14年)ソ満国境に駐屯していた我が国の旧軍隊の将兵の間に高熱と著しい出血性傾向と腎臓障害を伴う一奇病が流行し,当時の関東軍々医部当局を中心にして一群の民間学者の協力によつて本病は一ウイールスに由来する疾患である事が確定された。1)2)3)
 1951年朝鮮の戦場で戦つた国連軍隊の中に上述の流行性出血熱とその臨床症状の極めて類似した疾患が多数発生して米国の多くのウイールス学者4)5)や二,三の西欧の学者5)が所謂出血熱に注目し始めるに至つた。又これより先,ソ聯邦に於ても既に我が国の学者が満州に於て流行性出血熱に注目し始めたと殆んど期を同じくして本病の存在をソ聯領北東シベリヤに認め,我が国の学者の多くの研究と全く独立に且つ殆んど並行に研究が進められ我が国の学者と等しく本病がウイールスに由来する疾患である事を認めた。7)8)しかも又ソ聯邦に於てはその後後述する如く各地に高熱と出血性傾向を主訴とする各種の出血熱が見られ9)現在では所謂出血熱に対して幅の広い定義を下さざるを得ない状態に立至つている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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