icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生18巻2号

1955年08月発行

文献概要

--------------------

日本腦炎について

著者: 北岡正見1

所属機関: 1国立予防衞生研究所リケツチヤウイルス部

ページ範囲:P.10 - P.16

文献購入ページに移動
 夏が近づくと毎年,今年は脳炎が流行しますかと,人から尋ねられる。そうしてその都度,当惑している。というのは流行が起るとか,起らないとかの未来の出来事に対する答えは,第六感による主観的決定によつてするのではなく,過去に於ける疫学を,出来得る限り客観的に各因子に分析し,綜合し,そこに何らかの手懸りを見出そうとの努力が,今日でも,なお続けられているにも拘らず,残念乍ら未だ決定的な法則が見出されていないからである。
 しかし過去に於ける全国的大流行の年次発生を通覧すると,そこに凡そ10〜15年の周期的流行波が認められる。また今日迄に明らかにされたことは日本脳炎も他の伝染病に於けると同様に個体の免疫と体内に侵入するウイルス毒力のかね合いによつて,発症したり,しなかつたりしている。近年の流行も昭和23年の全国大流行の連続であることを考慮すれば,そして今年の気象的条件が例年並みであるとすれば,今年の患者発生数が少くなつていつてもよい筈である。今その理由を述べるに先立ち日本脳炎の輪廓に触れてみよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら