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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生18巻2号

1955年08月発行

研究報告

都内における覺醒劑常用者間に発生したマラリアについて

著者: 山口與四郞1 池田和雄1 難波諄士1 岩崎綾子1

所属機関: 1東京都衞生局予防部

ページ範囲:P.50 - P.52

文献概要

まえがき
 一昨年の暮あたりから覚醒剤常用者間にマラリア患者が集団的に発生している事が判明し既に大阪,九州等の実例が報告されている。
 東京都内でも昭和29年1月初旬より2月中旬にかけて5名の覚醒剤常用者が相次いで惡寒,戦慄,発熱のため芝の民生病院に入院し何れもマラリアである事が判明した。之等の患者は秋葉原ガード下,鍛治橋,浅草山谷等を根城とする浮浪者で何れも三日熱マラリア原虫が証明されたのであるが感染経路については患者発病の時期からみて「蚊に刺されて罹患した」とは考えられず,又患者の既往歴からみて外地にいた事のある二例は一応再発と云う事も考えられるが外地における発病時の症状が,惡寒,戦慄等もなく僅かに38℃台の熱が数日間持続したに過ぎない事からみてマラリアであつたとは断言出来ない。一方之等患者はすべて覚醒剤常用者であり注射器の消毒も不充分なまま直接静脈内に使用している事実からみて彼等がマラリア原虫で汚染された注射器を互に貸借使用することによる接種マラリアであろうと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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