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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生18巻3号

1955年09月発行

文献概要

保健所長の生活の記録

民衆と共にある保健所

著者: 安東晁1

所属機関: 1広島県立尾道保健所

ページ範囲:P.10 - P.12

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 山陽本線を西下の際,須磨,明石辺の佳景を後にしてはじめて見出される海,それは尾道水道であろう。ちよつとした川巾位しかない海をへだてた向島には造船所があつて,時には捕鯨船の一団が修理に入港したり,いつぞやは四六時中マスト高く赤旗をはためかしてソ聯の船が来ていたこともあつた。五月頃の瀬戸の島々は麦の黄と除虫菊の白とに彩られて旅の人々の目を樂しませる。
 志賀直哉,林芙美子の作品で,最近は「東京物語」,「放浪記」などの映画で紹介された尾道は,戦災を免れ,山と海とに狭まれて東西にのびた細長い町,市制が敷かれて既に60年に垂んとし広島県では広島市に次いで二番目に市となつた商業都市,由緒ありげな寺院の塔も,町家の瓦,壁の色も何となく古めかしい。その昔,大阪と下関の中間に位し港町として発展して来たこの町にも通例によつて遊廓の栄えたことは当然のことで,今だに町の一廓にはその名残を止めている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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