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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生18巻4号

1955年10月発行

文献概要

寄生虫の諸問題 研究報告

鉤虫感染経路の疫学的研究—第1報 ズビニ鈎虫の主として分布している地方に於ける都市,農村別の蛔虫,鈎虫及び鞭虫の感染状況

著者: 牟田口利幸1

所属機関: 1三井鉱山三池鉱業所保健課

ページ範囲:P.39 - P.45

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1.緒言
 鈎虫の感染は経口的にも経皮的にも営なまれ時には子宮感染をなす事さえあるといわれている。鈎虫類の感染経路の実験的研究はLeuckartによつて開始された。氏は犬に仔虫を投与して経口感染を認め,つづいてLeichtenstern(1886)は之を人体実験で立証した。Looss(1898)は鈎虫卵の培養及び経口感染の追試過程において経皮感染並びに感染仔虫の体内移行を明かにした。その後も多数の学者により,経口,経皮感染及び感染仔虫の体内移行に関する実験的研究が追試補足されてきて,今日ではその何れも可能であるという見解に達しているとみてよい。
 しかしわが国の人為ないし自然環境下において兩種鈎虫が如何なる感染機会と経路を実際に持つているかということについては不明な点が多い。殊にわが国に広く分布し,その病害においてアメリカ鈎虫を凌ぐズビニ鈎虫の感染経路の主道が,経口,経皮の何れであるかについては,予防対策上極めて重要であり,生物学的にも興味ある問題で,識者の間で真剣に論議されている。鈎虫感染の疫学的研究については,山崎(1935)は若葉病の研究途上,山陰地方の都市及び農村を対象として鈎虫感染の実態を調査したところ,成人が小兒に比較して感染率及び度が薯しく高度であつたことから,経皮感染を主道と推定していたことが報告の一端にみられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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