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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生18巻4号

1955年10月発行

文献概要

寄生虫の諸問題 研究報告

炭鉱地方における鉤虫保有者の罹病状況

著者: 牟田口利幸1

所属機関: 1三井鉱山三池鉱業所保健課

ページ範囲:P.46 - P.48

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まえがき
 高温多湿の環境下において,重筋的労働に従事する者の多い炭山労務者の間に,労働への影響が問題にされている鈎虫が広く蔓延していることは注目すべきことである。炭山の鈎虫については,吉田(1),松下(2),有田(3),大鶴(4),河野(5),田中(6)の諸氏により古くから研究され,吉田,松下,有田等は坑内における適温多湿が感染の好条件なることを報告した。しかし最近田中は坑内の作業方法及び作業衣が改善され坑内感染の危険性が薄らいできたといい,大鶴等は炭山地方における鈎虫の蔓延は自家菜園の普及によつて,農村的性格を帯びてきたことが主因であると報告した。また大鶴,河野はズビニ鈎虫保有者の化学的検査を実施して,濃厚感染者に限らず一般の虫卵保有者の間にも多数の貧血状態の者が存在するとし,労働への影響を認めた。
 著者は鈎虫寄生によつて生ずる障碍が,直接鈎虫を招来する他,間接に他の疾病を増惡させている実態を明らかにするため,昭和27年3月三池炭鉱某坑従業員273名について調査した。先ずStoll法で検便し,検便以前1力年の疾病を健康保険組合の診療費請求書から調査し,鈎虫感染濃度と疾病との関係をまとめてみたので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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