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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生18巻4号

1955年10月発行

文献概要

寄生虫の諸問題 研究報告

ピペラジンの蟯虫に対する効果特に集団驅虫劑としての検討

著者: 川本脩二1

所属機関: 1京都府立医科大学医動物学教室

ページ範囲:P.49 - P.54

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 蟯虫は主として盲腸に寄生し,雌虫は成熟すると下行して肛門附近に産卵する。従つてこの虫体は屡々肛門周囲又は糞便上に見出される事から蛔虫と同様に一般によく知られているが,肛門部に産卵すると云う特性の為に普通の検便法では虫卵の検出は頗る困難で,真の寄生率が不明であり,又蟯虫自身によつて通常人に致命的症状を来す事が少く,更に単なる下剤又は灌腸のみによつても,或る程度の排虫の見られる事より容易に駆虫出来るが如き印象を与える為一般には蟯虫症に対する関心は余り払われなかつた。然し乍ら最近蟯虫卵の検査法が改良されて以来,私共の調査でも京都市及び宇治市に於て蟯虫の感染率は成人75〜81.1%,学童84.9〜97%を示し,都市農村又は成人学童を問わず極めて濃厚な浸淫を示す事が明かになつた。而して蟯虫の感染予防は清潔の一語につきるとは言え,実際には今の所駆虫藥による虫体の駆除以外には殆んど適確な方法はない。従来蟯虫症の治療は肛囲に現われた虫や便と共に排泄された虫を見て驚いた母親の訴えによつて行われる個人治療が主であり,而も蟯虫によつて重篤な症状を来す事が殆んどない為に,積極的に医師をたづねて治療を乞う事は比較的少なかつた。この様に感染予防の為の適確な方法がなく,而も医師を訪ねる事が少いとするならば,予防撲滅の為には積極的な集団駆虫が重要視されねばならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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