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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生19巻1号

1956年01月発行

文献概要

特集 人口問題の焦点

産業と人口

著者: 黒田俊夫1

所属機関: 1厚生省人口問題研究所

ページ範囲:P.7 - P.9

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1.人口増加と経済成長
 人口に関する問題が深刻化するのは,一般に人口の数が自己を扶養するに足る力,つまりその社会の経済力との間に著しい不均衡が発生する時である。兩者の間に一応の均衡が維持されている時には,人口の問題は深刻な社会経済問題化するに至らない。人口を扶養する経済力は,いいかえればその社会の産業構造の発展の問題に帰する。従つて人口の問題は,人口と産業の二箇の変数のいずれかが著しく変動することによつて深刻化するに至る。このことは次のように表現することができる。人口の変動率一増加,減少の二箇のばあいがあるが,現実には前者のばあいが多い。特に戦後日本のばあいや東南アジア諸国のばあいの如き一と産業の発展率との間に著しい開きを生じ,兩者の間に不均衡が生ずることによつて,人口問題が提起される。このような不均衡にはいろいろのばあいが考えられるが,今日もつとも一般的なものは,激しい人口増加とこれに即応しえない経済の発展ないし停滞との間に発生する不均衡である。経済が拡大発展を示しながらも,人口の増加率に及びえないことから生ずる人口問題は,いわゆる「経済成長率」の問題と関連して,経済学上においても重大な課題を提起している。
 このような人口の増加と経済の成長との関連を具体的に日本について観察してみよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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