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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生19巻1号

1956年01月発行

文献概要

特集 人口問題の焦点

人口問題としての結婚

著者: 村田宏雄12

所属機関: 1最高裁判所 2東大

ページ範囲:P.38 - P.42

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1.人口問題としての生殖
 人間は生理的条件の差にもとずいて,男女の兩性に分れている。生殖という機能を果すに当つては,此の兩性の性的相互作用が必要である。人間の人口は此の生殖により,新しい人口が再生産される。従つて人口問題上,再生産の為には,どうしても男女の性的相互作用,すなわち性的な男女の人間関係が営まれなければならない。再生産が行われることで人口が維持されるのであるから,男女の性的相互作用は,人口問題上ゆるがせにすることの出来ない点である。
 だが此の点迄では,何も人間に限った問題とはならない。どんな生物でも種族保存の傾向があり,その為には生殖を必要とし,雌雄に分かれている限り,生物は此の兩性の性的結合が再生産には欠く可らざることとなっているからである。動物の場合,此の性的結合には,性行動による兩性の性的相互作用を必要とする場合が多いが,此の際の性行動とは性的要求という生理的条件によつて惹起される緊張体系を解消させようとして起るものである。従つて,人間の生殖も,純生物学的意味からは,性的欲求から惹起させられると考えられよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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