icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生19巻1号

1956年01月発行

文献概要

特集 人口問題の焦点

人口錯覚

著者: 館稔1

所属機関: 1厚生省人口問題研究所総務部

ページ範囲:P.54 - P.57

文献購入ページに移動
 『私が筆を取ろうとしている現在,1ドルはおよそ70セントである』―統計学や経済学でおなじみのI.フイツシヤは,その名著『貨幣錯覚(マネー・イルージヨン)』を,こういう一見奇妙な文章で書き起している。それは1927年のことであつた。1927年といえばアメリカの経済界にはどこか無気味な嵐を含んだ黒雲が去来していた。あの世界の経済界を混乱の渦中に投じた世界恐慌の火の手が,ウオル街の一角に立ち上つたのが1929年の秋であつた。
 不幸にして,戦後貨幣価値の激変で苦しんだ今日のわが国では,現在の1,000円が戦前の1,000円とどんなに違つているかということを誰もがよく知つている。しかし,戦前の1,000人の人口と現在の1,000人の人口とがどんなに違つているかということを,われわれは余りよく知つていないような気がする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら