icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生19巻2号

1956年02月発行

文献概要

特集 最新の予防接種 各論

ジフテリア

著者: 黒川正身1

所属機関: 1国立予防衛生研究所

ページ範囲:P.31 - P.39

文献購入ページに移動
まえがき
 日本のジフテリア罹患率は大平洋戦争の末期に急激に増加して人口10万につき100人以上に達したが,戦後は急傾斜を画いて減少し,1953年には終戦時のピークの10分の1以下に下つてしまつた。
 然し,その当時,東京及びその近傍の各所で行われた調査を綜合してみると32),各年令層を通じてSchick陽性率が意外に高く,また,ジフテリア予防接種の普及率も案外に低いものだと考えざるをえなかつた。このことは,戦後のジフテリアの減少が,必らずしも予防接種の効果のみによつておきたものだとはいえないこと,何か不明の他の因子も考える必要があること,そして,上記のようなジフテリア患者の著るしい減少が,吾々の統制外にある条件の介在によつておきているものであるならば,このような条件は何かの原因で変動することも当然予想されることであり,その場合には,ジフテリアに感受性のある人は多いのだから,再び患者が多発するという事態が生ずるであろうということも予想されること32)ではあつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら