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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生19巻3号

1956年03月発行

雑誌目次

特集 學校保健衛生(1)

学校保健の課題

著者: 塚田治作

ページ範囲:P.1 - P.4

〔Ⅰ〕
 終戦以来早くも10年,このときにおいて,学校保健の現状について若干の私見を述べてみたいと思う。
 今日,学校保健をめぐる問題は数多くあるが,最も急務とされるのは学校の保健管理制度の確立である。もちろん,学校保健の一方の部門である健康教育についても,問題がないというわけではない,しかし,このことについては,学校教育法によりその制度は整つており,内容においても,さきの高等学校の教育課程の改訂,およびこれに伴う学習指導要領の新編などによつて,すでに問題觧決の途上にあるといつてよいであろう。

学校環境の衛生管理

著者: 高橋膵良

ページ範囲:P.5 - P.12

 学校は教育の場として最も健康に適した環境でなければならない。それには大体次の4つの目標をあげることが出来ると思う。
 1.学徒の健康の保持増進

学校における健康管理

著者: 内田早苗

ページ範囲:P.13 - P.16

1.教育と健康管理
 学校は教育の場であることは云うまでもない。従つて児童・生徒及び教育者が健康で且つ安全に教育活動の行い得る様な健康管理を必要とする。
 工場や事業場などには,労働衞生法規に基いて「衞生管理者を選任し,当該事業における衞生に関する事項を管理する」ことが定められている。

教職員の健康管理

著者: 武光多四郎

ページ範囲:P.17 - P.34

はじめに
 戦後学校保健の問題が,新教育の中に強く叫ばれて,ここに10年が経過した。教育基本法の第1条に「身心ともに健康な国民を育成する」と書かれているのであるが,これをもつとかみくだいて考えてみると,教育の目的は身心ともに健康であることを最も初めに,また最も基本酌なものとしなければならないというのであろう。古い教育が智育,徳育,体育といつて三者をおなじように重要なものと考えなければならないとしていたにもかかわらず,いわゆる智育が扁重されていて,健康の重要性がおろそかにされていたことは事実であろう,戦争後日本の占領連合軍の指導によるにしても,とにかく健康の重要性,とくに学校教育の中にそれを重視しなければならないことを認識したことは喜ぶべきことである。
 学校保健はいうまでもなく学徒の健康の管理と知的ならびに行動的な健康の教育が重点となるべきものであるが,学徒を指導,教育する教師がその本貭を十分に認識し,かつそれ以上にそのための実践力をもつ必要があろう。教師はその教え子の健康を重視すると同時に,自分自身の健康を見守つて行かなければならない。

学校身体検査

著者: 成田功

ページ範囲:P.35 - P.38

緒言
 明治21年には学校に於て活力検査が奨励され,明治30年には学生生徒身体検査規定が定められ,身長,体重,胸囲,栄養,脊柱,視力及び屈折状態,色神,眼疾,聽力,耳疾,歯牙その他疾病異常等の検査が行われるようになつた。その後大正9年には更に発育概評の項目が加えられ,昭和2年には身体検査票の記入に当つて従来の尺貫法は廃止され,メートル法が採用されるに至つた。昭和12年には更に坐高の計測と共に比坐高,比体重,比胸囲などの記入欄が設けられたのである。豊田順爾博士等によれば,坐高は体格体貭を構成する一要素であり,発育栄養指数構成上,又児童の発育と机,腰掛を適合させる等のために測定を必要とするとしている。しかるに昭和19年には単に身体検査の実施を簡素化するという理由によつて前記の坐高の測定が削除され,豊田博上一生涯の失望と歎ぜしめた。又我が国結核対策の重要性が認識され,ツベルクリン皮内反応検査が新たに加えられた。昭和24年にはふたたび坐高測定が加えられ,疾病及び異常の検査項目が整備され,即ち胸郭,鼻及び咽頭,皮膚等が加えられ,その他の疾病異常については呼吸器,循環器,神経系統等を検査し,結核性疾患,ろくまく炎,心臓疾患,貧血,脚気,ヘルニア,神経衰弱,言語障碍,骨,関節の異常,四肢運動障碍及び寄生虫病等の発見につとめるとされ,更に結果の処理と活用に就て定めている。これが現行のものである。

特殊兒童生徒の健康指導

著者: 重田定正

ページ範囲:P.39 - P.44

1.はしがき
 学校において特殊児童生徒として教育されているものの実態について理觧を深めることは,"受持教師のひとりひとりがそれぞれりつぱな健康教師としてこれらの生徒児童の発見につとめ,彼らを一般生徒児童に伍して均等に教育を与えるよう絶えざる努力を払い,そのためにどんな生徒児童も幸福な学校生活の1日を一様にすごさせる"ことの可能性を増す結果になるので,この有能な教師に協力をおしまない者は特殊児童生徒の教育について高く評価されなければならない。

学校における伝染病の予防

著者: 今井清

ページ範囲:P.45 - P.48

はしがき
 学校における伝染病予防は学校伝染病予防規程にのつとつて行われており,その対象となる疾患は次のように広範囲なものである。
 第一類 コレラ,赤痢(疫痢を含む),腸チフス,パラチフス,痘瘡,発疹チフス,しよう紅熱,ジフテリア,流脳,ペスト,日脳

研究報告

シツク・テストの疫学的検討

著者: 今井淸 ,   兒玉光栄 ,   松本幸久 ,   橋本正秀

ページ範囲:P.49 - P.53


 ジフテリアの感受性を知る方法としてシツク・テストが従来から使用されているが,患者発生乃至流行状況との関係に就いては未だ明らかにされない点が多々あり,その一部は既に報告したが更に我々は感受性に関連の深い疫学的条件を検討し併せて予防注射後のシツク・テストの推移に考察を加えた。
 今回の検査地区は東京都の住宅地である杉並区と都下の農山村である西多摩郡を選び,シツク・テスト用液は国立予防衞生研究所黒川研究室の同一規格液を使用,術式判定などは厚生省検査指針に従つた。

高津保健所管内のジフテリア百日咳定期初回免疫の実状と実施上の社会的要因

著者: 石丸寅之助

ページ範囲:P.54 - P.56

 昭和29年ジフテリア,昭和30年百日咳定期初回免疫の当管内における接種状況を観察し,両予防接種の完了率に相異があるので,その要因について2,3の考察をしたので報告する。

集団検診上喉頭粘液塗抹染色による結核菌検出の意義

著者: 菅野寬一 ,   斎藤順一 ,   佐久間孝 ,   舟木文夫

ページ範囲:P.57 - P.59

I.まえがき
 昭和23年以来吾々は一会社(従業員約7,000名)の診療所(患者収容施設はない)に於て診療を担当し,併せて従業員の定期健診竝に健康管理を行つている。管理の重点である肺結核患者の健診には「レ」線撮影,血沈反応,検痰等の諸検査を行うと共に,患者の喉頭粘液塗抹染色による結核菌検索を併用して今日に至つて居るが,この検索の利用価値並に意義に就て一応の知見を得たので,茲に報告して諸賢の御批判を仰ぎたいと思う。

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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