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研究報告
バスの車内換気に関する実験的調査
著者: 鈴木武夫1 川森正夫12 輿重治1 石川清文1
所属機関: 1国立公衆衛生院 労働衛生学部 2現:群馬大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.25 - P.30
文献購入ページに移動現在,交通機関は戦前以上に復興したとはいえ,他方これを利用する乗客数が著しく増加しているから,衛生学的にみた場合,車内環境条件が劣悪化する傾向にあることが容易に想像され,事実我々の日常屡々感ずる所である。現在と事情は多少異るが,昭和21年末より翌年春にかけて行われた国電混雑時の調査(1)において,気温,気湿,炭酸ガス量,粉塵数及び細菌数の調査よりみた場合,車輛内の空気の汚染度は乗客数と一定の関係にあることが示され,それより衛生学的にみた場合の一車輛に乗せうる乗客数を推定している。
又,最近の傾向として,バスの普及がめざましくその利用回数と共に長距離輸送の増加が著しいことである。これに伴い,バス車体,座席等の改善がはかられ,振動,騒音,照明等は漸次快適な状態になりつつあるにも拘らず,バス乗車の際不快な感じを抱かせられることが稀ではない。これは道路の不備もさることながら,快適な環境条件をつくる主要因の一つである車内空気条件について,未だ充分な考慮が払われていないためであると考えられる。即ち,車内の気温,気湿,気流,炭酸ガス量,粉塵数,細菌数,臭気及び排気ガスの洩れ等で示される車内条件の問題が多く未解決のまま残されているからであろうと。
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