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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生19巻5号

1956年05月発行

文献概要

研究報告

毒蛾について

著者: 森下哲夫1

所属機関: 1岐阜医科大学

ページ範囲:P.35 - P.38

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 昨年岐阜県多治見市に大発生した毒蛾(Euproctisflava)は愛知県名古屋市,瀬戸市,春日井市,海鳴町周辺にも大発生をして初夏の夜を悩ませた。本邦に於ける毒蛾大発生の記録は1889年宮城,岩手両県に於いて大発生したのが最初のものの様で,1908年山形,兵庫両県で,1915〜16年新潟,秋田,千葉の各県,1917年宮城,1918年静岡,1919年石川次いで1926年宮城県で大発生した。終戦後は1947〜49年に亘つて宮城,青森,秋田,山形の諸県に大発生があつた。今年の大発生は昨年の多治見市を初め岐阜県では土岐市,瑞浪市に,愛知県では名古屋市,瀬戸市,春日井市,富山市,刈谷市,半田市等にも毒蛾被害が見られた様で,少数毒蛾の飛来は岐阜市でもあり被害者を見ている。この両県下に於ける被害者は推定数十万と考えられる。東京都から九州に互る一帯殊に近畿地方でも毒蛾多発を見た様である。毒蛾科の数多くある毒蛾の種類の中で大発生をする種類は我が国に於てはドクガ(Eupro tis flava)に限られている。人体被害のある毒蛾として,チヤドクガ(Euproctis pseudoconspersa),クワノキンケムシ(Porthesia xanthocampa)等が夫々前者は茶,椿,山茶花等に後者は桑につくので,茶業養蚕業に携る人々に被害を与える記録があるが,農薬の発達した時代で重要性は稀薄化しつつある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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