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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生19巻6号

1956年06月発行

文献概要

特集 原子力と公衆衛生 綜説

原子力の公衆衞生への応用

著者: 豊川行平1

所属機関: 1東大

ページ範囲:P.46 - P.50

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 原子力は公衆衞生の分野においてもその利用面が増大しつつある。例えば,牛乳検査の際,稀釈度の正確さをチエツクするため,牛乳中にP32を加え,各稀釈液をカウントするといつたことが行われている。また,アイソトープやX線が食品,抗生物貭などの低温殺菌に用いられている。食品の低温殺菌は他の殺菌法に代る重要なものとなるだろうと考えられているが,Anonymous(1951)及びClifcon(1955)によると,β線,γ線及びX線による食品の殺菌は約1,5°乃至3.0°repで十分ということである。問題は風味や食品価値を如何にして保存するかという点であるが,これは今後の問題であろう。一方,食品中の寄生虫除去にも放射線は利用できる。例えばGomberg et al(1954)によると,豚肉中のTrichinellaを除去するには750,000乃至106repの照射が必要といつている。Co60のγ線の20,000repは寄生虫仔虫の成虫への成熟を阻止するし,また雌虫は12,000repで完全に殺されるという。
 衞生動物学の研究ではアイソトープは非常に大きな役割を演じている。衞生昆虫にアイソトープを与えて目じるしをつけるという仕事を最初に行つたのはHassett and Jenkins(1949)及びBugher and Taylor(1949)で,それ以来この方法を用いて広範な研究が行われている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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