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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生20巻2号

1956年08月発行

文献概要

特集 最近の医学の話題

精神身体医学

著者: 土井正德1

所属機関: 1最高裁判所

ページ範囲:P.14 - P.15

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I.精神身体医学とは何か
 職場や学校で,胸苦しくなつたり目まいがして倒れそうになつたり,或いは倒れたりしたならば,脳貧血だといつて医務室にすぐ連絡するにちがいない。もし倒れたそのとき痙攣をおこすようなことがあれば「てんかん」と思うかも知れない。また急に腹痛を訴えたり,急に下痢を訴えたりするものも珍しくなく,そのときには胃炎だとか腸が悪いらしいということで,応急の手当をあたえたのち,自宅に送りとどけ,さらに医師の診療を受けるのが普通であろう。これらのばあい一般に考えられることは,身体あるいは内臓に何か原因があたえられて組織や細胞に病変をひきおこし,そのためにそれらの苦痛がおきたのだろうということである。この人はどうも心臓が弱いらしい,それで脳貧血をおこしたのだろうとか,昨夜何か悪いものを食べたらしいとか今朝何か食べすぎたらしい,それで胃痛をおこしたのだろうとか,あるいは急性の下痢をひきおこしたのだろうとか,すべての苦痛の原因を身体の病変にもとめるのである。それはあたつていることもあるし,そうでないこともある。
 つまり,身体の組織や細胞そのものには少しも病変がなくて,苦痛な症候をひきおこしていることが少なくないのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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