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特集 最近の医学の話題
性格検査
著者: 上出弘之1
所属機関: 1東大腦研究所
ページ範囲:P.16 - P.17
文献購入ページに移動性格検査を述べるに先立ち,まず性格とは何かが問題になる。実際性格とか人格という語ほどまちまちに用いられる概念は少い。簡単には情意方面のある種の反応を起し易い傾向という風に定義されるが(T.Ziehen),それは関連して一つの全体として了解されなければならない(K.Jaspers)ものである。一方性格あるいは人格の基盤となる作業能力,記憶能力,疲労性,練習可能性,あるいは才能,知能などいうものは,性格とは切り離して理解されねばならないことはいうまでもないが,これらはすべて現実には性格と密接に関係し合つており,たやすく知能あるいは性格を抽象することは困難である。いわゆる知能検査や性格検査という場合に,相互に性格や知能の如何がその結果の上に少からぬ影響を及ぼすことは忘れてはならない。
性格の分類にあたつてまたわれわれは余りにも多くの体系があることで驚かされる。多くの性格の研究家はすべて自分々々の図式を作り,その概念系列によつて性格のすべてを説明しようと試みている。大別すれば類型論と構成論の体系が区別されるが,そのおのおのに哲学的心理学的なものと,生物学的な立場に立つものとが分けられる。ここでその一々を挙げることはとうていできない。
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