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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生20巻2号

1956年08月発行

文献概要

特集 最近の医学の話題

遺伝病

著者: 駒井卓1

所属機関: 1国立遺伝学研究所

ページ範囲:P.20 - P.21

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〔Ⅰ〕
 昔の医学医術は治療が主であつたが,近頃殊に戦後予防の方に力が注がれて,病を未然に防ぐことが重視されるようになつた。それで伝染性の病などは,かなり有効に予防され,その脅威はよほど減じた。また抗生物質の応用が盛んになつて,近頃まで難治とされた病も,割合に容易に全治するか,または軽くすることができるようになつた。それで日本人の平均寿命も,短かい期間に著しく延びた。これは実に近代医学医術の誇らしい成果であることに,誰も異存はないであろう。
 こうなると,遺伝性の病の重要さが前より甚だしく加わつた。この次に征服すべきは,主として遺伝病ということになる。このためには遺伝病について十分な知識を得る必要がある。遺伝病はすでに300〜400種くらい知られており,この後更に多く新らしいものが発見されるに違いない。その一つ一つについてあらゆる方面から調べなければならぬが,之等の病に共通な性質として,遺伝ということがある。それでこの遺伝についての一般的な基そ知識がないと,一つ一つの遺伝病の最も大切な点が分らないことになる。ところが遺伝は生物界の全部に通ずる現象であるから人類の遺伝も他の動植物の遺伝と根本は同じぐある。それでこの一般的な遺伝の知識を元にして,人類の遺伝現象が始めて理解されるのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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