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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生20巻4号

1956年10月発行

文献概要

綜説

猩紅熱トキソイドについて

著者: 沢井芳男12

所属機関: 1東大 2伝染病研究所

ページ範囲:P.35 - P.40

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まえがき
 ジフテリアと同様に猩紅熱をトキソイドで免疫予防しようという考えが生れたのは,1923年にDick1)夫妻が猩紅熱の患者材料をヒトに接種して実験的に感染症をつくることに成功して以来のことである。ついで同氏等は患者から分離されたレンサ球菌が猩紅熱様の発疹を作るいわゆる外毒素を生産すること,さらにまた培養の濾液からえた毒素(ジツク毒素)でジフテリアのシツクテストと同様に皮膚反応を行うと,猩紅熱に対する感受性をテストすることができることなどを明らかにした。すなわちジツクテスト(Dick test)がこれである。
 この様にしてジツクテストを手がかりとして,上述の毒素を用いて猩紅熱の能働免疫が行われるようになつたが2),本毒素はジフテリア毒素にくらべると,ヒトに対する毒作用ははるかに弱いが,それでも毒素をそのまま免疫に用いるといろいろな不快な副作用とくに猩紅熱様の発疹ができたり,あるいはまた軽い猩紅熱になることもあるので,ジフテリアトキソイドと同様にホルマリンでトキソイド化しようとする試みが多くの研究者によつて行われるようになつた3)4)5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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