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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生20巻4号

1956年10月発行

文献概要

原著

鉤虫卵陽性率検査の為の被検者選出について

著者: 水野哲夫1

所属機関: 1千葉大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.51 - P.54

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緒言
 農村における鈎虫卵陽性率を検査する場合,その鈎虫卵陽性率を正確に知る為には全村民をすべて検便する事である。併しこの全村検便は多大の時間と労力と費用を要するから,数多くの農村の鈎虫卵院性率を検査する場合―例へばある県でその県内の鈎虫卵陽性率を推測したい場合等―には殆んど不可能になる。次に考えられる事はその村の全村民よりランダムに被検便者―標本―を抽出して検便する事であるが,この方法も農村の実情より推してランダムに―飛び飛びに―糞便を集める事は不可能ではないが困難である。柳沢等1)は農村の鈎虫卵陽性率が16-20才の年令階級の鈎虫卵陽性率とよく一致し,16-20才の年令層を検便する事によつて農村の鈎虫卵陽性率を推測し得るとした。併るに小宮等2)は鈎虫感染の濃厚地区では感染源が一般に濃厚に存在すると考えられるから,年少者層の鈎虫感染率と成年層の感染率との比が,鈎虫感染の稀薄な地区の両年令層の感染率の比よりも小さいのではないかと言つている。小宮山3)は小宮の推論に基いて川崎市登戸地区において上記の比率が農村部と市街地とでは差異があつたとしている。
 以上の様に鈎虫卵陽性率検査の為の被検者の選出に就いては種々議論されているが,要は比較的に容易に糞便を集め得て,しかもその結果集め得た標本内容が母集団の小模型となる様な標本であればいい訳である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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