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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生20巻5号

1956年11月発行

文献概要

原著

鷄卵と細菌について—特に細菌の卵菌の卵殼通過について

著者: 中西恭生12

所属機関: 1九大医学部衛生学教室 2福岡県衛生研究所

ページ範囲:P.99 - P.103

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I.緒言
 我々は一般に卵を栄養食品として食しておるが病鳥殊に産卵器に病変のある鳥の卵や,常に不潔な所に棲む鳥はその産道が細菌に依つて汚染され卵の形成の中途に於て既に細菌が侵入し,産卵後これが為めに卵の腐敗或は細菌による食中毒の原因となる例は少なくない。
 新鮮鶏卵内の保菌状態即ち保菌率は,養鶏講義等によるとハードレー等は252個中50例,約20%,本邦では225個中46個,20.4%という,又鶏卵内の細菌による汚染は卵の形成途中に侵入したものばかりでなく卵殼に附着した細菌が卵殼を通過する事によつても汚染されるという事も考えられるが,之に関した文献は少なく且其の結果は区々である。即ちWilm(1895)は実験的にコレラ菌の外大腸菌及び種々の水中菌も卵殼を通過し其の際細菌の運動の速度及び菌体の大さが関係すると言い,又Golowkow(1896)はコレラ菌は卵殼を通過するとし,Maurer(1912)は鶏卵内容に大腸菌を1例だも証明し得なかつたし,又大腸菌は実験的にも卵殼を通過し得ずと述べ,梶原(1922)は大腸菌,パラチフス菌は卵殼に単に塗布しても通過せずという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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