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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生20巻6号

1956年12月発行

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アンケイト

保健所のあり方—その職務分担

著者: 岡西順二郎 ,   佐々木孝治 ,   池田忠義 ,   永井正雄 ,   佐々木忠正 ,   岡田貫一 ,   聖成稔 ,   石垣純二 ,   奥野徹

ページ範囲:P.8 - P.31

 戦後10年を経た今日,公衆衛生の危機が叫ばれ,その第一線機関たる保健所のあり方がとかく批判の対象とされています。この際転機に立たされた保健所が"如何にあり又如何にあるべきか"について,保健所長諸先生の御意見と,それに対する御批判を伺つてみました。
 以下,保健所のseinとsollenを……………‥,

綜説

最近のWHOの活動

著者: 山口正義

ページ範囲:P.1 - P.7

 "最近のWHOの活動"に就いて何か書くようにとの註文を受けた。
 事聊か旧聞に属するが,今年の5月,ジユネーヴで開かれたWHOの第9回総会に日本代表として出席したので,同総会に於て報告されたWHO事務局長Candau博士の年次報告「1955年1年間に於ける事業の検討」と「1957年の事業計画の検討」という議題の二つをもとにして,与えられた課題に応えることにしてみたい。

原著

B. C. G. 陽性と再接種によるコツホ現象

著者: 今井清

ページ範囲:P.32 - P.34

 従来からツベルクリン反応陽性(以下ツ反(+)と略す)にはBCG接種をしないことになつているが,免疫と言う点からみてこのツ反(+)はいかなる性質を持つものであろうか。著者は既にBCGを再接種すべき時期に就いて発表1)したが,今回はBCG陽性に再接種を試み併せてツ反発赤,硬結の経過と関連してその意義を検討,考察を加えた。

鉤虫Carrierの臨床的研究(第2報)—一般症状,貧血,血清γ-Globulin及び焦性葡萄酸の消長

著者: 石崎達 ,   佐藤澄子 ,   久津見晴彦 ,   小林昭夫 ,   安田一郎 ,   小宮義孝

ページ範囲:P.34 - P.41

1.はしがき
 私達が取扱つた範囲(石崎・他,1955)では,鉤虫に感染しているが一見したところ特に支障なく野外で農業に従事している人達の大部分(70%)は,Ancylostoma duodenale(A. d. と略記す)15隻以下,Necator americanus(N. a. と略記す)100隻以下であつた。
 Smillie(1928)によればN. a. 100隻以下をCarrier乃至軽感染者として居り,又催貧血力から見て1A. d.=5N. a. と考えると述べているから,A. d. 30隻以下を軽感染者とすれば私達の対象の大部分は寄生虫数からみて軽感染者とすることが出来る。

宮城県の寄生虫特に鉤虫の感染状況

著者: 鈴木了司 ,   青木大輔 ,   湯田和郎 ,   田代暢子

ページ範囲:P.41 - P.44

 回虫を主として戦後激増した本邦の寄生虫感染率は,その後一部の地区を除いて戦前の状態に復帰しつつあるが,東北地方,殊に比較的寒冷な本地方の寄生虫感染状況は今まで全く明らかにされていない。
 著者等は本地方における感染状況を明らかにするために1953年以来,県内各地において調査を実施し,その一部は既に報告したが(鈴木1955),本報においては鉤虫を主とした蔓延状況を報告する。

多槽式屎尿処理槽の研究(第1報)

著者: 木村道也

ページ範囲:P.44 - P.46

緒論
 古来我が国に於ける屎尿は専ら農村に於て肥料として用いられていたが,近時化学肥料の増産進出はめざましく,併せて有畜農業の普及は従来唯一の処理法であつた農村還元の行き詰りとなり各地の野壼,貯留槽は常に充満し,更に溢れ出でて処置の方法もなく,遂には庭の空地に埋没し,或は夜間密に河川に投棄する等非衛生極まりない方法も行われている有様で,これらは現今至る所に仄聞される所である。従つてこれが対策に各方面の権威者の研究実験があり,一部は既に実際施設され運行されてはいるが,巨額の施設費更に維持費を要し,又運行不可能となつたものもあるようである。山口左仲教授は時期の如何を問わず,虫卵,病源細菌,嚢子等の完全なる滅殺が行われ,設備簡単にして巨額の費用を要さず,運営容易にして故障の恐れもなく,危険性を伴わず維持費も僅少で足る経済的施設で然も全く無害に河川に放流可能な方法を考案された。なお又肥料として用いる要ある時は勿論安全無害な完熟肥料として使用し得られるものである。

中毒イカから検出されたウイルス樣粒子の同定と病原性の考察

著者: 藤原栄一

ページ範囲:P.46 - P.52

 さきに筆者は昭和30年夏,新潟県殊に佐渡地方に多発したイカによる食中毒が,イカ水揚げ後の腐敗による食中毒と異なり,イカが生前に有毒化し,食中毒が新鮮なイカによつて起つたと考えられることについて報告1)した。筆者は中毒イカからウイルス様粒子を検出し,これが孵卵漿尿膜で培養出来るものであり,患者血清との間に沈降反応がみられ,また患者大便から同種の小体が検出されることなどから,このウイルス様粒子と食中毒の関連性について考察を試みた。
 その後ウイルス様粒子の同定,イカや人に対するこのウイルス様粒子の病原性などについてさらに検討を加えたので報告する。

三宅島を中心として多発したあじによる食中毒の疫学的考察

著者: 石丸寅之助 ,   歌代吉雄 ,   足達卓治 ,   近藤茂 ,   海沼勝

ページ範囲:P.52 - P.54

緒言
 昨年は北部日本海沿岸における「いか」都内に頻発した「たこ」神戸製鋼工員間の3,416名に及ぶ塩さけによると推定される事例等の魚介類に原因した食中毒が多発したことが知られている。我々は昭和30年9月三宅島住民に発生した食中毒様疾患を現地で調査したが,激しい腹痛(特に上腹部)下痢を主訴とし嘔吐発熱等もみられ,臨床的には急性胃腸炎の診断された一過性の経過を示す疾患で"あじ"に原因したと推定されたが,未だ病原は明らかにされていない。然しこの調査の結果三宅島以外に伊豆諸島の御蔵島,八丈島等にも同様疾患が流行したことが判明し魚類による食中毒として疫学的に興味深い所見を得たので報告する。

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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