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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生21巻1号

1957年01月発行

文献概要

綜説

新しいウイルス病—ウイルス学の立場から

著者: 福見秀雄1

所属機関: 1国立予防衛生研究所

ページ範囲:P.1 - P.7

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 Hans Zinsserの "Rats, lice and history" という題名の著述は発疹チフスのlife historyを扱つたものと副題をつけられているが,その内容は発疹チフスに限らず一般に人類に大なり小なり惨禍をもたらして疾病史に強い刻印を残した流行病のbiographyである。そこには流行病,伝染病がその誕生からはじまつてその成長,成人の過程が著者のユニークな眼を通して眺め語られている。生物が,人類が,進化発展する如く伝染病もまた進化し,生長し,変貌し,盛衰するのである。
 この意味で勿諭ウイルス病もまた新生し,変貌しているかもしれない。併しながら新しいウイルス病と言う場合,我々はこの様な意味での新生ウイルス病を意味することは珍らしい。今から10年程前,即ち昭和23年の初春に我が国では全国的に伝染性下痢症の流行があつた。この病気は当時甚だ珍しいものとされ,我が国ではそれまでなかつたものとして奇病などと言う名前も頂戴したのであるが,既にその2年前にアメリカでは若干の流行をみていたのである。アメリカでそれ以前にこの病気がどうであつたかについては多少の推論はあるが明確なところはわかつていない。随つて伝染性下痢症がそれ以前にいかなる歴史を持つていたか,それが新生ウイルス病としていつ登場してきたかについては勿諭何ら判然するところはない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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