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綜説
新しいウイルス病—ウイルス学の立場から
著者: 福見秀雄1
所属機関: 1国立予防衛生研究所
ページ範囲:P.1 - P.7
文献購入ページに移動この意味で勿諭ウイルス病もまた新生し,変貌しているかもしれない。併しながら新しいウイルス病と言う場合,我々はこの様な意味での新生ウイルス病を意味することは珍らしい。今から10年程前,即ち昭和23年の初春に我が国では全国的に伝染性下痢症の流行があつた。この病気は当時甚だ珍しいものとされ,我が国ではそれまでなかつたものとして奇病などと言う名前も頂戴したのであるが,既にその2年前にアメリカでは若干の流行をみていたのである。アメリカでそれ以前にこの病気がどうであつたかについては多少の推論はあるが明確なところはわかつていない。随つて伝染性下痢症がそれ以前にいかなる歴史を持つていたか,それが新生ウイルス病としていつ登場してきたかについては勿諭何ら判然するところはない。
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