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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生21巻11号

1957年11月発行

文献概要

綜説

オウム病

著者: 松本稔1

所属機関: 1東京大学伝染病研究所

ページ範囲:P.5 - P.12

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 オウム病は外国の病気だ,とついこの間までいわれたものである。われわれもそれにさして疑をもたなかつた。しかし今にして思えば,これは少々うかつだつた。というのは,第一に,オウム病は世界中にひろく分布していることから考えて,日本は例外,と思う前に,むしろ日本にもありはしないか,と考えるべきではなかつたろうか。オウム病は元来トリの病気であつて,トリからトリに容易に伝播する。また日本にはオウム病に高い感受性をもつたトリ,たとえばオウム,インコの類その他のトリがかなり多く飼われているばかりでなく,オウム病の分布しているとされている諸外国との間にこれらのトリの移動がかなりひろく行われている。しかも感染したトリの多くは,一見健康にみえる慢性のウイルス・キヤリアーとなり,これが重要な感染源となる。これらの事実は,日本にもオウム病はあるであろう,との推定をむしろ強めるものである。
 これはさておき,最近日本でもこの病気がかなりひろく分布していることが明らかにされた。この発見のいとぐちとなつたのは,大森,石井,松本1)等その他の,オウム病ウイルスにごく近縁のウイルスによる,ウシ,ヤギなどの家畜の病気の研究にあつた(Matumoto et al2)をみよ)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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