公衆衛生21巻11号

1957年11月発行

原著

水俣奇病に関する研究（1）—浚泄汚泥とイリコの毒性について

著者： 佐藤徳郎¹ 福山富太郎¹ 鈴木妙子¹ 松浦富久江¹ 山田美恵子¹ 内田信之² 伊藤蓮雄³

所属機関： ¹国立公衆衛生院栄養生化学部 ²国立予防衛生研究所，病理部 ³熊本県水俣保健所

ページ範囲：P.28 - P.30

　昭和31年4月頃から熊本県水俣市海岸に錐体外路性症状，小脳症状，神精症状等の中枢神経系症状を主として訴える奇病の存在することが，新日本窒素肥料会社附属病院の細川博士により気づかれ，しかもすでに過去数年間にも発生していることが，同博士の手により，水俣市医師会の協力のもとに明かにされた。
　31年末までに患者54名，死者17名に達しているが，最近約10名の患者が以前から発症していることが明かにされている。