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特集 インフルエンザ
綜説
文献概要
インフルエンザ(以下イ.と略す)流行が病原学的裏付けをもつて公衆衛生対策にとりあげられるようになつたのは,第二次大戦後の近々10年足らずの間であるが,本病がもつ強烈な伝播力の故に一たび流行の様相を呈してくると,多かれ少なかれさまざまの社会問題を伴うのが通例である。しかもこれに対する抜本的対策の困難性から流行防遏上の予防効果を期待し得る範囲は極度に限定されている。それらの諸問題に関する疫学的,臨床学的ないしは病原学的研究分野の詳細は他の執筆者にまつこととして,ここには本年の流行を中心として東京地方における最近の趨勢とこれが対策の実状を述べて参考に供したい。
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