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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生21巻2号

1957年02月発行

文献概要

特集 公衆衞生とノイローゼ 綜説

ノイローゼとは

著者: 塩入円祐1

所属機関: 1慶応大学医学部

ページ範囲:P.1 - P.10

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はしがき
 「ノイローゼとは何か」という設問に答えるに当つて,その原因,症状を述べる前に,一体ノイローゼなるものが疾病と云われるべきかどうか,を吟味する必要があるだろう。なぜならばこれは器質的変化を持つ所謂疾病ではないからである。
 ある神経系なり器官なりに炎症や変性乃至は機械的損傷があつて,その神経系や器官が働かなくなるとすれば,これは疾病ということが出来る。かりにそのような器質的変化がなくとも,その変化を予想させるような症状があれば未だ疾病と云つてよい。例えば震顫麻痺が1817年にパーキンソンParkinsonによつて記載された頃にはどこにも器質的変化は見出されず,ノイローゼと同様な機能的疾患とされていた。脳炎,進行麻痺,脊髄癆,舞踏病などさえも始めはノイローゼの中に包含されていたことを思うと,今更乍ら医学の進歩の道程に感慨を覚えずには居られないだろう。このようにしてノイローゼの中から次々と器質的疾患が取出され,除かれて行つて,最後にノイローゼとして残つているもの,それが今日流行になつている所のものであり,今ここで取上げようとしているのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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