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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生21巻6号

1957年06月発行

文献概要

統計のページ

地域と疾病

著者: 上田耕三1

所属機関: 1厚生省統計調査部

ページ範囲:P.46 - P.51

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 われわれの住むこの国土は,それぞれの特徴によつて,いくつかの地域に分けることができる。その最も端的な例は都市と農村の区分である。この両者ではその景観がいちじるしく違うばかりでなく,生活様式,生活環境,労働型態,産業構造などに多くの違いがある。われわれが扱う公衆衛生や社会福祉の分野にみられる諸々の問題にも,このような差異が反映されていることはいうまでもない。われわれが社会的なつながりをもつ諸問題を扱う際に十分注意しなければならない事柄である。しかし,都市と農村の区分は必ずしも容易ではない。とくにこの区分によつて,ある事象を統計的に観察しようとする場合には,その区分自体に技術的な多くの問題が生ずる。一般に行政上の地域区分にしたがつて,市の区域を市部,市以外の郡の区域を郡部といい,この区分によつて都市的な地域と農村的な地域とを分ける方法がとられている。ところが近年,多くの新市の誕生や町村合併が行われるようになつた結果,市部といつても農村的な地帯がかなり含まれるようになつたためこの区分が疑問視されるようになつた。これを救う一つの方法は,ある地域をその人口の大いさによつていくつかの階級に分かつ方法である。この方法でも,例えば人口の分布はまばらだが面積が広いためにサイズの大きい所と,逆に人口ちよう密だが面積が狭いためにサイズの小さい所とが混り合つて,いずれがより都市的であるかという点になると仲々難かしいのはもちろんである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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