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特集 明日の公衆衛生 今後に期待するもの
環境衛生
著者: 橋本正己1
所属機関: 1厚生省環境衛生部
ページ範囲:P.1 - P.5
文献購入ページに移動わが国の公衆衛生の現状には,いくつかの重大なゆがみが見られる。中でも,今後の公衆衛生の健全な発展のために強く指摘されなければならない事実は,いわゆる予防衛生の進歩に比べて,その基盤であるべき環境衛生が甚しく立ち遅れていることであろう。
このことは,明治の初頭以来わが国の衛生行政に一貫してみられる事実であつたばかりでなく,戦後においてすら公衆衛生の各分野が長足の進歩を遂げた中にあつて,ひとり環境衛生のみは顧みられずに取り残された感が深いのである。とくに,汚物処理,下水道の整備など環境衛生の中でも最も基本的な分野であり乍ら終戦後数年の間は一顧だに与えられなかつたといつても決していい過ぎではないのである。
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