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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生21巻9号

1957年09月発行

文献概要

特集 屎尿と塵芥処理

屎尿の資源化と化学処理について

著者: 谷川久治1

所属機関: 1千葉大学

ページ範囲:P.36 - P.43

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1.前がき
 近来都市に於ける人口の増加に伴う屎尿の排出量の増大と,肥料として屎尿の需要の激減により所謂余剰屎尿が年々多くなり,その処分に困つているのが現状である。即ちこれが解決は今日国家緊急問題の一つとして極めて重要である。
 汲取屎尿の処理には種々の方法があるがその一つに化学処理乃至乾燥肥料製造法がある。これは屎尿処理と資源化との一挙両得を企図するものである。これに関しては古くから多数の考案や特許が出ているのであるが何れも企業としては成立しなかつた。併しながら以前に企業的に失敗したという事は必ずしも今日化学処理の不可能を示すものではない。又先入観念からこの方法に冷淡であるのは適当でない。というのは以前には汲取屎尿は有価物であり,集荷から施設万般,企業体の負担であつたが,現今では事情が変つてきたのである。即ち現在では何れにせよ屎尿は都市の責任で汲取り,処分をせねばならない。そしてこの為の経費の支出は止むを得ないのである。故に化学処理を必ずしも営利事業として考えねばならない事はない。ただ屎尿処理の一法として環境衛生上の重要問題の解決をかねて,有用な資源を活用し,更に経費の一部を回収出来ればよいという見界に立てるわけである。かくて若し作業を企業体に委托するにしてもその企業が成立する程度に都市が協力すべきは勿論である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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