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隨想
厚生省創設20周年を迎え
著者: 広瀨孝六郎1
所属機関: 1東京大学工学部
ページ範囲:P.517 - P.517
文献購入ページに移動一体厚生行政の重点が何処にあるのか又一点でなく多方面に亘るのか,その辺は筆者は詳かにしていないが,予防衛生というか公衆衛生というか病気にかからせない様に,更に進んでは快適な生活を営ませるという事が,少くとも厚生行政の目的の一つである事は間違ないであろう。そうするとすぐ問題になるのが社会衛生というか貧富の差という様な事,続いては労働衛生即労働者の保健衛生や災害防止の件であろう。此2の問題は実は国家社会の根本にふれる問題であつて,今二大政党が争つている政策にもふれなければならない。こうなつて来ると筆者の様な科学技術を専攻している者には手に負えなくなつて来る。併し以上と関連する国民体位向上の問題としては,食品の栄養という事が重大要素となる。戦後,米過食の害が叫ばれているが,折角戦争中に築かれた良習慣であるパン食メン類食が正に崩壊しようとしている。年々の米の豊作は更に之に拍車をかける状態にある。
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