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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生22巻10号

1958年10月発行

文献概要

綜説

公衆衞生院の思い出と將来

著者: 齋藤潔1

所属機関: 1国立公衆衛生院

ページ範囲:P.527 - P.531

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近世公衆衛生の発祥
 公衆衛生院が誕生してから20年の年月が経過した。この間には満洲事変,支那事変を経て遂に第二次世界戦争に突入し,敗戦の憂目を見て,ここに既に10数年が過ぎている。この20年間には曾て見ないほどの大きな変革が,国内的にも国際的にも行われている。人の生活に密接に結びついているわれらの公衆衛生も,この急激な世相の推移にさらされてきたことはいうまでもない。公衆衛生院創立以来20年の歴史を振り返えつて記録するには,創立当時のわれらの周囲の公衆衛生状態から説き起こさねばならない。
 18世紀以来の科学の進歩は,長い間暗黒時代に閉ざされていた公衆衛生の歴史に光明を放ち,新しい頁をくりひろげた。1870年代に至り,PasteurとKochよつて実証された伝染病の病原細菌説がこれである。爾来1910年頃に至る30年間は,所謂細菌学黄金時代であつて,多くの伝染病の病原が相次で発見され,ここに漸く従来の経験的環境衛生が,科学的実験的衛生へと進み,伝染病の予防に科学的根拠を与え,次で免疫生物学的予防手段と相俟つて,幾世紀にわたり人類を悩ましつづけて来た,さしもの急性伝染病も次第にその影をひそめるに至つた。この状態は先進諸国においては既に1920年頃のことであつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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