文献詳細
文献概要
原著
脳卒中についての公衆衛生学的問題点
著者: 佐々木直亮1 武田壤壽1
所属機関: 1弘前大学医学部衛生学教室
ページ範囲:P.556 - P.561
文献購入ページに移動この死亡の傾向を表わすものが基礎人口全体に対する割合を示す粗死亡率であり,粗死亡率の大小が脳卒中による死亡の重要性の大小をすぐ語るとはいえない。これは日本と諸外国との比較のとき問題になる点であるが,老人人口のしめる比率の多い国では,粗死亡率は大きく出,粗死亡率だけの比較では,わが国は比較的低率な国に入るが,年令訂正死亡率で比較するならば,わが国は世界で有数な脳卒中による死亡の多い国であることがわかるという例からもわかる。これは脳卒中による死亡が年令が増加するにつれて,30才代からほぼ幾何級数的にその危険率が上昇するという特長があるからなのである。勿論各国間の比較ではこの年令的に危険率が上昇する傾向にも,国によつて多少の相違のあることは将来研究問題となろう。
掲載誌情報