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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生22巻11号

1958年11月発行

文献概要

原著

粉塵吸入実験に関する基本問題(1)—粉塵発生器の種類について

著者: 近藤東郎1

所属機関: 1慶大医学部衛生学公衆衛生学教室

ページ範囲:P.617 - P.621

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 粉塵問題は最近空気汚染ということが喧しく論じられ始めたので,急速に一般の関心を惹くようになつたが,実はそれ以前から常に産業関係者を悩ましているものであつた。労働衛生学の中で大きな比率を占める産業障害の多くが粉塵によつておこる。その種類は産業方法の発達と共に増加こそすれ,決して少くはなるまい。そして,粉塵によつておこる産業障害の中でも特に中毒に関する研究は現在迄に甚だ多く,その研究法も産業現場調査法と実験研究の二方面よりとられている。前者では過去に於ける他要因を無視した純医学的調査法から社会環境までも加味した所謂疫学方式に変化して来ている。これに反して後者に於いては特に吾国では未だに中毒発現の被毒方法として経口,皮下,吸入法の中で前2者を用いて研究が行われている。これは方法として比較的簡便且毒物量を一応正確に体内に注入しうること,及び急性実験の行えることによる為であろう。実際,著者の経験から云つてもガス吸入実験は別として粉塵吸入実験は実験技術上の制約から予想外に長期に亘るものとなる。この意味からも実験開始前に於いて使用動物,指標とする生体症状について充分吟味する必要が出てくる。
 さて究極に於いてこれら3法による症状の差はないのであるが,中毒発現過程での極めて微妙な反応形式に関しては投与法間に明かに差のあることが既に著者の教室に於いて確かめられている1)2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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