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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生22巻4号

1958年04月発行

文献概要

特集 性病予防 綜説

性病予防行政はどうあるべきか

著者: 小原菊夫1

所属機関: 1東京都神田保健所

ページ範囲:P.187 - P.189

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 性病まん延の社会的原因は,売淫とPromiscuity(性的無規律または乱交)という二つの形式で行われる夫婦外性交である。この二つの社会悪がなくなれば,性病はまん延しなくなるわけである。しかし,道徳教育だけでPromiscuityがなくならないように,売春防止法という法律だけで売淫がこの社会から姿を消すとは考えられない。むしろ,赤線のような集娼地区がなくなれば,今の社会状態では,すべての売淫婦が散娼として衛生管理の眼の届かない地下へもぐつてしまうであろう,とは誰でも考えることである。そこで「この四月からの売春防止法の完全施行後は狂暴な性犯罪がふえはしまいか。また性病がふえはしまいか」。と,世の識者たちまでが心配するのも無理はない。
 しかし,われわれは赤線がなくなつてから後の性病の罹患率を憶測したり,そのまん延を危惧したりする前に,ここで今までの状態を吟味してみる必要がありはしまいか。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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