icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生22巻7号

1958年07月発行

文献概要

特集 耐性問題と公衆衛生 耐性菌発現の実例

抗生物質耐性赤痢菌,他

著者: 齋藤誠1

所属機関: 1都立荏原病院

ページ範囲:P.374 - P.382

文献購入ページに移動
 広域性抗生物質に対する耐性赤痢菌の分離は,昭和28年川島等によつてテトラサイクリン(TC)群抗生物質耐性赤痢菌の分離に始り,その後も散発発生例から耐性赤痢菌の分離報告がみられたが,昭和30年までは疫学的,臨床的実際問題としての影響は殆どなかつた。しかし昭和31年にいたり駒込病院の田尻等は,病院看護婦間の流行から分離したSh. flex. 2bの39株,並に長岐等が昭和32年6〜7月にわたつて東京玉川地区に小流行をみた13例(5例は国立東二)の赤痢から分離したSh. flex 1bが,ストレプトマイシン(SM),クロラムフエニコール(CM),TCのすべてに高度耐性を示す菌株であつたこと,さらに落合等が修学旅行中の生徒間に集団発生をみた赤痢から分離したSh. flex. 2bがTCに高度耐性菌であることを報告した。また詳細は知らないが東京城北地区の某施設に集団発生をみた赤痢から分離したSh. flex. 2bが田尻等,長岐等の経験と同様にSM,CM,TCのすべてに高度耐性菌であつたことが指摘され,漸く耐性赤痢菌の浸淫が疫学的,臨床的観点から大方の関心を惹くにいたつた。
 このようなSM,CM,TCのすべてに,或はその一種に耐性を示す赤痢菌の全国的な分布状況の詳細は充分に明らかでないが,東京のように他にくらべて耐性赤痢の多い印象をうける地区でも,感受性菌に対する耐性菌割合は現在においてもそれほど高くない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら