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綜説
英国における公衆衛生関係立法小史
著者: 前田和甫12
所属機関: 1東京大学医学部公衆衛生学教室 2国立公衆衛生院第八回正規医学科
ページ範囲:P.500 - P.507
文献購入ページに移動英国における公衆衛生の発展のあとをたどると,その要望は,18世紀中葉から始る産業革命が,無慈悲に,加速度的に進むにつれて急速な人口移動,都市集中が強行され,その結果として必然的に生じたもので,多くの先覚者・社会改革者等の熱心な運動により,自発的・私的な事業から次第に政府の施策へと移つたことが分る。先ず,古くからの救貧法(Poor Law)を改正し,適応を拡げ,又新しい対策をとり入れて,窮乏した人間を拾いあげることから始まり,続いて都市に必要な諸施設の建設,緊要な諸規則の制定へと進んでいつた。
同じ頃,これとは別に,急速に増加して来た工場労働者の苛酷な労働条件,悲惨な環境の改善を目指すR・Owen等の運動が実を結び,最初の工場法(FactoryAct)が定められてから後,次第に婦人・年少労働者の問題,労働者の住宅建設,有害業務の規正等へと公的の監視と施策の制定が発展して,初期の公衆衛生の立法,対策は,この2つを根源として,関係諸法へと発展したと言えるであろう。
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