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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生23巻6号

1959年06月発行

文献概要

原著

全地域住民の鉤虫感染率の推測について

著者: 矢島ふき1

所属機関: 1千葉大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.397 - P.398

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I.はじめに
 戦後我国の農村衛生の問題として,寄生虫特に鉤虫感染の重要性が指摘され,地方自治体または青年・婦人団体等による地区組織活動が,少しずつ展開されていることは誠に喜ばしい。農村地域の鉤虫予防対策を行うに当つては,まず第1に地域の鉤虫感染状況を把握することが必要で,このことなしには予防対策の必要性を見極めることさえも出来ない。また事業計画,予算措置等を適切に行う上の重要な基礎資料として欠くことが出来ない。そしてこの段階では個々人の感染の有無は必ずしも明らかでなくともよい。この様な時には一部の住民を抽き出して標本とし,この検便を行つて,全地域住民の鉤虫感染状況を推測することが出来れば非常に便利である。ここで如何なる標本を抽き出したらよいか問題となつてくる。統計学の教える方法に従うならば,全住民の名簿を作つて,一定の抽き取りの比率で,機械的にとり出す方法や,全住民を職業別(生活型別)に分けて,それぞれの群から,前と同様にとり出す方法等,種々考えられる。然し無組織の住民に対してこの様な検査方法は机上の企画として優れていても,農村という社会の実態に即してみるならば,殆んど実行困難な方法である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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