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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生23巻7号

1959年07月発行

文献概要

特集 乳肉衛生

東京都の乳質改善対策の1例

著者: 北浦弥太郎1

所属機関: 1東京都衛生局獣医衛生課

ページ範囲:P.417 - P.421

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 わが国における牛乳事情は,欧米に比べるとすでにその起源において大きな開きがある。古来米麦を中心とした食生活の伝統と,四ツ足禁制の仏教的タブーにはばまれてきたため,牛乳や食肉が漸く食膳に供されるようになつてから未だ半世紀余りしか経つていない。その生いたちもまた当初は薬餌的要求に応えての生産であつて,欧米のように古くから消費者自らが牛を飼つて,自らこれを食したのとは甚だその趣を異にしている。したがつて,その歴史も極めて浅いわが国の牛乳界は,生産,処理,販売および消費にわたつて,いずれも牛乳そのものの本質的認識に乏しいため,ともすると乳質を悪化させる結果となつている。
 牛乳は今さらいうまでもなく,すべての必要栄養素を完備した最も優れた食品であるが,それだけに細菌類にとつてもまた最良の培養基となつて盛んに増殖する。低温度(少くとも10℃以下)に保持することが,細菌増殖を防ぐ唯一の手段であるが,未だ充分この知識すらない取扱者がいる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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